脂肪を減らす?!冷却法について
ハーバード大学で研究された新しい痩身技術に
脂肪を冷却して、数週間後に消滅させるという技術があります。
この話は事実であり、アメリカFDAの認証を得ているのですから
私ごときが、とやかくいう資格はないと思います。
果たして、日本に存在する>全ての脂肪冷却器が有効なのでしょうか?
また、全ての人に有効なものなのでしょうか?
まず、この機器について簡単に説明します。
脂肪をある程度冷やすと脂肪は体内で変質し2~3週間で消滅するという理論に基づき
身体の表面の一部を吸い上げ一定時間冷却し、その効果を期待するというものです。
そこに幾つかの疑問があります。
1.表皮の下にある「皮下脂肪」をつまみ出して挟むという行為でどれだけの脂肪がつまめることができるのか?
2.毛細血管などには約36度の血液が循環しており、それも含めて一定温度(氷点下)まで下げることは可能なのか?
3.つまみ上げる技術(通常バキュームか挟み込み)で毛細血管の欠損による青アザは出来ないのか?
4.一時的になくなっても、再発する恐れはないのか?
5.脂肪は減るかもしれないが、体内に蓄積されている脂肪のほとんどはトランス脂肪酸やシリコン脂と称されるものであると言われており、それには効果があるのか?
それについて以下のとおり、私見を述べさせていただきます。
1.表皮の下にある「皮下脂肪」をつまみ出して挟むという行為でどれだけの脂肪がつまめることができるのか?
→私が解剖などをした経験上、部位によりますが表面から1~2cmほど深くに存在しているので、挟み込む厚みが、最低4cm以上無いと脂肪をつまんでいることにならないと推測される。
2.毛細血管などには約36度の血液が循環しており、それも含めて一定温度(氷点下)まで下げることは可能なのか?
→冷却器表面から1~2cm深い脂肪部分が氷点下になるためには、最低でも表面が氷点下であることが条件となります。体温と同じ温度の血液が循環しているため、氷点下の目標値より更に低い温度で冷却するか、若干低い温度で長時間冷却しなければ、脂肪は氷点下の目標値になることはありえません。また、氷点下5度以上下げてしまうと「低温やけど」になるため、非常に微妙な温度管理と状態のチェックが必要になりますが、それらを自動で機械まかせにすることに、疑義を感じます。
3.つまみ上げる技術(通常バキュームか挟み込み)で毛細血管の欠損による青アザは出来ないのか?
→俗にいう「キスマーク」はどこにでも付きますが、二の腕や太ももの内側や胸や首のような部位につけやすいことは一般的に知られています。目的の部位がその部位または非常に近い部位である以上、全ての機器において万人に全くつかないというものでは無いと考えます。ちなみに、青アザは理由の如何を問わず、健康被害であると保健所は認識しており、エステなどで言われる老廃物が多いから青アザになる、青アザ自信が老廃物であるなどの表現には大きな違法性の問題が潜んでおります。警察に被害届を出した事例もあり、注意が必要です。
4.一時的になくなっても、再発する恐れはないのか?
→元々脂肪細胞が大きく成長した原因が何かを突き止めない以上、今後も脂肪細胞は大きくなっていきます。多少の脂肪細胞が消失したとしても、消失しなかった深層部の脂肪細胞が表層部の脂肪細胞の代わりに取り込み成長すると考えれば、再発の恐れは充分にあると考えます。
5.脂肪は減るかもしれないが、体内に蓄積されている脂肪のほとんどはトランス脂肪酸やシリコン脂と称されるものであると言われており、それには効果があるのか?
→シリコン系の脂は、有機シリコン(炭素を含んだシリコン)といわれ、上は250度付近から下は-40度付近まで弾力性を持つ状態でいられると言われています。つまり、主に食べ物の摂取によって体内に蓄積されたシリコン脂は、多少温度を下げても分解・消滅しません。あくまで
ハーバード大学の研究は脂肪の消失研究であり、実際に太った原因であるシリコン脂の消失研究ではないということを忘れてはいけません。
まだ研究は進んでいるでしょうから、今後さらに進化した痩身機器が登場することを期待しましょう。
Ulysses院長 林